シェアケーキは経済的困難さの中にあり、お誕生日のお祝いに不安を感じている家庭に対し、お誕生日ケーキの支援をする活動です。
「シェアケーキではどんな家庭を支援していますか?」
この質問は私たちがよくもらう質問です。
今回行ったインタビューでは、シェアケーキの感想だけでなく、家庭の背景や抱えている想いを伝えることで、社会における家庭理解に繋げていきたいと考えています。
山村さん(仮名)
山村さんは子ども4人を育てるシングルマザー。
離婚後に発覚したご自身の病気。成長期で食べ盛りの子どもたちを育てる中で、お祝いに対してのしんどさを感じることもありました。
どのような状況で支援活動に辿り着いたのか、届いた際のお気持ちなども、お話をお聞きしました。
生活や経済的な状況について
離婚前、相手の養育費にあまり期待ができなかったため、籍を外す前から、色々調べ、児童扶養手当といった行政支援や、その他の支援を見つけ、子育ての準備や計画を立てていました。
そうやって自分ひとりで4人の子どもたちを守るための術を考えていたものの、離婚後、私自身に悪性リンパ腫が発覚しました。
予想なんてしない、まさかのことでした。仕事をどうするかという前に、治療や入院の必要性が出てきたことで、元々計画していた状況から大きくかけ離れた生活に変わりました。
そして、想定した通りというか…元夫からの養育費の支払いも半年程度で終わってしまいました。
実家も近く、時々、食料品等の援助はしてもらっていたものの、親に対しての申し訳なさもあって。積極的に親にお願いすることや、自分自身が感じている日々の辛さを伝えることはできなかったです。親しい人ほど、心配かけたくないので何に困っているかとか、何が辛いとか、話すことができません。
また病気のことも抱えながら、生活の変化の慌ただしい日常の中で、時間帯によって精神的なストレスがかかる時間や度合いにも違いがありました。
私の場合は特に夜は落ち込む・塞ぎ込むことが多くなって。
あるLINEのサービスで相談窓口があったんですけど、夜中の時間帯だったので、自動返信で「今は対応時間外です」という言葉が戻ってきました。
時間帯が時間帯なので、当たり前なんですけどね。
ただ、身内や知り合いに対して辛い現状を伝えることができず、張り詰めた気持ちを持っている中で、その自動返信をみて、孤独になる感覚を持ったのを覚えています。
誕生日支援に辿り着いた時
そんな中でも、支援の手を借りながら生活をする中で、食料支援の配布会に参加をしていた際に、誕生日ケーキの支援の情報を見つけました。
一番上の子どもは高校生、下は小学生。とても育ち盛りの子どもたちなので、食費はとてもかかります。
なので、おやつについても、食べるペース配分をしてもらっています。
あくまでおやつは嗜好品なので、ご飯の食材を買うとお菓子を買っている余裕は無くなることもしょっちゅうでした。
「これを買わなかったら、教育費にできるな・・・」といったように、別のものと比較したり買い控えをしたりすることもありました。
そんな中で、誕生日というのは特別なものですが、嗜好品にあたるもの…。
離婚前は本人が希望するケーキや夕飯を用意することができていました。
ただ、今はどうしたって難しい。生活の中でも「何かを諦めなければいけない」状況です。
子どもたちに喜んで欲しい、子どもに経済的不安を抱かせたくないので応募させていただきました。
誕生日ケーキを受け取った時
当選案内が届いた時、「当たった!ラッキー!」という気持ちより、「また助けて頂いたな、生かされているな」という気持ちが強かったです。
誕生日ケーキを受け取った際、ケーキ屋さんの言葉や対応も丁寧で嬉しくありがたく思いました。
箱を開けた瞬間の子どもたちの顔を見ると、喜びが見て取れるんです。
「わぁーうまそー」「んまっ!!」と、笑顔いっぱいでケーキをほおばっている子どもたちの姿を見ると幸せな時間をもらいました。
毎日の生活の困りごとの中で、今回の支援にどれだけ助けられたか。
子どもたちはケーキで笑顔になり、母は支援してくださる方、そういった機関があることで心が救われます。経済的な面はもちろん、精神面でもとても助けられている支援の一つだと感じています。
シングル家庭にとっては、心から大変ありがたい支援だと思います。
現在も体調と相談しつつの生活なので、このような支援があることを嬉しく思っています。
誕生日ケーキ支援の必要性
今、なんとか最低限の生活はできているものの、ケーキや外出といったものはプラスアルファの贅沢になるので、正直、気持ちが引けてしまいます。
今回、支援を受けることで、家族そろってケーキを囲んで娘の誕生日を祝うことができました。
少し前まで、パートを掛け持ちしながら仕事をしていた時もあります。
世間一般の方からみると、パートで仕事かけもちしてるんだから、ケーキ代くらい出せるでしょ、たった数千円でしょと思われるかもしれません。
でも私にとっては集金が100円足りなくて通帳を漁った日もあります。そんな、子どもに見せられない姿で悩んでいる中での温かい支援は、本当に心が救われました。
たくさんの方への感謝しかありません。
今回、お誕生日を支援していただき、本当に助かりました。また今のような支援があることで、他の支援にも繋がることができていて、子どもたちの思い出作りもできてとても感謝しています。