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女優
鶴田 真由さん
1988年女優デビュー。その後、ドラマ、映画、舞台、CMと幅広く活動。凛とした力強さとしなやかさを併せ持つ演技で注目され、1996年には「きけ、わだつみの声」で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。近年は、ドラマ「らんまん」「誰かがこの町で」「あなたを奪ったその日から」、映画「日日是好日」「ノイズ」「エンジェルフライトTHE MOVIE」など話題作に出演。旅番組、ドキュメンタリー番組への出演も多く、番組出演がきっかけで、2008年には第4回アフリカ開発会議(TICAD Ⅳ)の親善大使の委任を受けた。著書に古事記をたどった旅エッセイ「ニッポン西遊記 古事記編」「神社めぐりをしていたらエルサレムに立っていた」(共に幻冬舎)などがある。現在、様々なアーティストとジャンルの枠を超えた活動を精力的に行い、写真や詩などクリエイションの場を広げている。
鶴田 真由さんインタビュー
鶴田真由さんとケーキのWA 〜「愛の交換」から生まれる、おめでとうの循環〜
私たち認定NPO法人チャリティーサンタは、貧困や難病などの困難を抱える子ども達に特別な思い出を届ける活動に取り組んでいます。その中のプロジェクト『シェアケーキ』では、経済的理由でお誕生日のお祝いを諦めざるえない家庭の子ども達へ、寄付によって誕生日ケーキを贈る活動をしています。
『ケーキのWA』はこの活動を広めるため、村上信五さんがプロジェクトリーダーとなりスタートしました。著名人の方々と協力して、世の中には見えづらい思い出格差という社会課題に対して、幅広い方々に関心を持っていただくことを目的の1つにしています。
女優として活動しながら、アフリカの難民キャンプなど世界各地の現場を訪れてきた鶴田真由さん。そんな鶴田さんがケーキのWAの賛同者に加わってくださいました。
誕生日という日が持つ力
ーー今回は「ケーキのWA」に賛同いただきありがとうございます。まずは賛同してくださった理由を教えてください。
「そうですね。一つは、説明してくださったスタッフの方の活動への想いがよく伝わってきたこと。もう一つはシステム的にもきちんと活動されてるんだなと、信頼できたからです。」
ーーシェアケーキの背景にある、日本における子どもの貧困についてどう思われましたか?
「正直なところ、ニュースなどで貧困家庭の話がタイトル的に入ってきても、自分の中ではピンときていませんでした。『日本は先進国なのだから、そこまで切羽詰まった状況ではないんじゃないか』と。
今回、シェアケーキの説明をお聞きし、お母さんたちが『ケーキを買うお金があったらお米を買いたい』『子どもにご飯をちゃんと食べさせる方を優先したい』。そんな風に思う気持ちはとても理解できました。
一方で、子どもが幼稚園で『誕生日にイチゴのケーキを食べた』と嘘をついていたという話を聞いた時は、胸が痛みました。子どもは親に気を使うんですよね。お母さんが頑張って働いてくれていると分かっているからこそ、「ケーキがほしい」と言えないのだと思います。」
家庭インタビュー:https://note.com/charitysanta/n/na801366a58a5
ーーそうしたご家庭がある中、誕生日のお祝いにはどんな意味があると感じますか?
「誕生日って、『生まれてきてくれてありがとう』を伝えられるすごく特別な日ですよね。自分は生まれてきて良かったのかなとか、祝福されているのだろうかとか、親に迷惑かけているのではないかとか。そんなふうに考えてしまうような環境の中で、みんなから『おめでとう』と言ってもらえるのは、その子にとって大きな意味があるのだと思います。
自分が『生まれてきて良かったんだ』と肯定できる。そのことが成長していく中で、愛されている実感や尊厳に繋がっていくのだと思いました。」
子ども達の心に「種」をまくということ
ーー私たちは子ども達に「愛された記憶」や特別な思い出を届けることを目指して活動しています。ご自身の子ども時代で、印象に残っている思い出はありますか。
「小学生の時の先生が、『あなたが風邪を引いた時に、お母さんは「大丈夫っ?」て声をかけてくれるでしょ。それはあなたを愛しているからなんだよ』という話をしてくださったことがありました。その言葉が今でも深く印象に残っています。子どもながらに、『あ、心配してくれたっていうことは自分は愛されているんだ』と思ったんです。大人側はあまり意識していなくても、子どもにとってはその後の人生の中心になるような体験や思い出になることってあると思うんです。なので、たとえ一回でも、大変な生活の中でいろんな人に支えられ、祝ってもらったという記憶は、きっと子ども達に深い実感として残ってくれると思います。」
ーーアフリカの支援現場を訪問する中でも、子どもの心のケアの重要性を感じたそうですね。
「アフリカの難民キャンプを訪れた際に、子ども達が集められたテントがありました。目の前で親が殺されたり、心に深い傷を負っている子ども達が、みんなで絵を描いたりして過ごしていました。そこの先生が、『早いうちに子ども達のトラウマを取り除かなければ、負の連鎖が起こってしまう』とおっしゃっていました。子ども時代にまかれた種は、その後の成長の中で良くも、悪くも増幅していくのだと思います。いい種がまかれれば、いい風にめぶいていく。ですので、愛という名の種をまいてあげることは、とても大切だと思っています。」
「かわいそう」ではなく「おめでとう」が循環する社会へ
ーー今まさに頑張っている保護者の方へ、メッセージをいただけますか?
「『十分頑張っているよ』『十分愛も捧げているよ』と伝えたいです。そして、そのことはお子さんにも伝わっているはずです。きっと小さなことでも子ども達は、愛情を感じ取っていると思います。
以前、『家族との食の思い出』を参加者の方に書いてもらって、それを朗読するというイベントをやったことがあります。その際にある方が『子どもの頃、学校から家に帰るといつもおむすびが二つ、机の上に載っていました。忙しい母親が握って置いていってくれているのが嬉しかったです。私にとっておむすびはご馳走です』と書かれていました。子どもはちゃんと親の愛を受け取っている。こうした子どもを想う親の気持ちは通じていきますし、愛の実になっていく。些細なことでも幸せな種になり得るのですね。」
ーーこうした活動に関心を持ちつつも、一歩を踏み出せずにいる方へも、メッセージをお願いします。
「入口を『かわいそう』にしないということは、すごく大事だなと思います。かわいそうからスタートすると、子ども達自身が『僕ってかわいそうなんだ』ってなっちゃう。そうではなく、『生まれてきてくれてありがとう』という祝福から入りたいですね。
お母さんの立ち位置もそうです。こんなこともしてあげられなくて『ごめんね』ってなってしまったら、子どもも『僕ってお母さんをかわいそうな感じにさせちゃってるんだ』って思ってしまう。
人ってきっと愛したいし、愛されたい。だから愛の交換ができた時に、何かが動く気がするんです。当たり前にやっていることが小さな種をまき、大きな花を開かせるという清らかな循環の生まれる社会になったらいいなと思います。皆さんもまずは一度、行動してみませんかと伝えたいです。」
