シェアケーキは経済的困難さの中にあり、お誕生日のお祝いに不安を感じている家庭に対し、お誕生日ケーキの支援をする活動です。
「シェアケーキではどんな家庭を支援していますか?」
この質問は私たちがよくもらう質問です。
今回行ったインタビューでは、シェアケーキの感想だけでなく、家庭の背景や抱えている想いを伝えることで、社会における家庭理解に繋げていきたいと考えています。
岡谷さん(仮名)
フリーランスとして働きながら、病気のご主人と小学生の息子さんを支える岡谷さん。
収入の不安定さと物価高に苦慮する中で、特に子どもの成長に関わる場面で経済的な厳しさを感じています。
ご自身が置かれている状況や、日々の生活で抱える思いについて、お話を伺いました。
生活や経済的な状況について
夫は一年前から身体の病気が悪化し、痛みが強いため仕事を続けることが困難になりました。なので、現在は私が大黒柱として家庭を支えています。
私は10年くらいフリーランスで仕事をしており、今もその形で仕事をしています。フリーランスは仕事として安定はしづらいのですが、夫の状況や子どもがまだ小さい中では自由な時間は得ることができています。
夫の両親はすでに他界していますし、私の両親もすぐに会える状況にありません。身寄りのない世帯になります。いざという時に助けを得られないので、時間も大切だと感じています。
それでも、フリーランスは不安定な仕事なので、生活費と収入のバランスは、とんとんか・・・ちょっとマイナスくらいです。
最近は生活にもダイレクトに物価高の影響をうけています。お米の高さにびっくりします。子どもも男の子で成長期なので、給食には感謝なのですが、逆に春休みや夏休みは食費による経済的な圧迫を感じ、しんどさも感じてしまうような現状です。
学習面でも、今年は塾の無料の特待制度に合格して無料で行かせてもらっていたんですが、それも期間が決まっていて、夏以降は通えなくなる見込みです。本当は子どもも継続したいのに、お金の問題で諦めてしまうことも多いです。
こんな状況の中では、生活費以上をひねり出すことは厳しく、余暇に使うお金は、ほとんどありません。
なので、お誕生日のお祝いとか、そういった楽しい行事は正直難しいです。買ってあげられないもの・用意してあげられないことが多いですね。「ほしい」ってずっと言われてるものもあります。男の子なので、カード集めも興味はあるんですけど、買ってあげるのは難しいので、友達からいらないカードをもらったりとかしています。
誕生日支援に辿り着いた時
普段お金のない生活をしていると、生活費を優先してしまうのでエンタメを後回しにしてしまうんですよね。
まず生活が成り立ってないと余暇の方に回せない現実があるので。
なので、お誕生日も「普通の日」。
朝起きて、子どもに「お誕生日おめでとう」と言葉では伝えるけれど、特に何か変化を持たせることはできていませんでした。
過去にスーパーで安いショートケーキを買ったことはあったけれど、ケーキ屋さんのホールケーキは選択肢にあがったこともありませんでした。
ただ、普段しんどい生活の中でも頑張っている子どもにホールケーキでお祝いができたら・・・「子どもが喜ぶかも」と思い、申し込みをしました。
誕生日ケーキを受け取った時
息子には「誕生日のプレゼントは何?」と聞かれ「立派なケーキだよ」と答えることができました。受取日は、子どもと一緒に受け取りにいきました。
ちょっとだけ電車に乗らなくちゃいけない距離だったのですが、電車代がもったいないなあと思いながらも、ケーキ屋さんの近くにあった入場無料の展覧会にも寄ったりして。そういった、おでかけの思い出にもなりました。
お店の方が優しくしてくださって、子どもは「お店の人におめでとうって言われて嬉しかった。お店が綺麗だった。」と受け取ったときの思い出も話してくれました。
ケーキは大切に、家族でちょっとずつ食べました。自分の名前のついたネームプレートが特別感があったようで、食べるのがもったいなくて、数日冷蔵庫で保管していたくらいです。本当に、特別な誕生日の思い出になったと思います。
誕生日ケーキ支援の必要性
普段から思っていることとして、貧困の中にあるということを社会に知られたくない人が多いと思います。私も、この気持ちはなかなか拭えません。ただ、外の支援にふれてみると「いい人が沢山いる」「助けてくれる人がいる」ことに気が付きました。
生活の苦しさは、決して恥ずかしいことではありません。そして、辛い時には助けを呼ぶという行動に出てほしいと感じています。
寄付をしてくださった方、応援してくださった方たちに感謝しています。